産経新聞「健康ライフ」記事
第2回トクホセミナー
生活習慣病の一次予防とトクホの有効利用をめぐって (3)
参加者からの質問を中心にパネルトーク
 第1部の基調講演を受けて、第2部では日本生活習慣病予防協会理事長の池田義雄氏も加わり、座長の大妻女子大学家政学部食物学科教授の池上幸江氏の司会で参加者からの疑問・質問を中心にパネルトークが行われた。

食品の持つ保健機能が健康生活に寄与(池田)
表示や説明を確認して正しく摂取する(池上)
池田 トクホは何段階もの試験を経て体に対する有用な保健機能と安全性について国が認可している機能性食品です。たとえば食後の血糖値の上昇を抑える難消化性デキストリンという成分がありますが、動物実験から最終的にヒト試験を経て科学的にその効果と安全性が実証され、エビデンス(証拠)がしっかりと確立されています。健康な人も含めて血圧や中性脂肪、肥満、骨の弱まりなど各種の体の不安に対する予防的な利用がトクホの役割の中心ですが、特に強調したいのはトクホの意義を正しく理解して自己管理、自己責任のもとに利用することが大事だということです。

井上 薬と違って効きめは強くありませんから、トクホを摂取していればよくなるということはありません。食事や運動、禁煙など生活習慣を是正したうえで利用すれば、それを助けてくれる食品であるということを理解してもらいたいですね。

池上 薬といっしょに使用した場合、量をたくさん摂取したとき、また何種類ものトクホを使った際の安全性は?

和田 特に高血圧や高血糖では注意が必要です。すでに医師の治療を受けている方が、処方薬とトクホをいっしょに使うことで、より血圧が下がってめまいや立ちくらみなどが出たり、血糖が下がり過ぎて気分が悪くなったりすることがあります。また、血圧が気になる人向けのトクホの中には、高血圧薬のひとつであるACE阻害薬に含まれる成分と非常に似た成分が入っているものがあります。二重に薬を使用することになりますので副作用が出やすくなります。高血圧の薬を飲んでいる方は、トクホの使用にあたって医師に相談することが大切です。  そのほかEPA製剤という血液をサラサラにする薬を飲んでいる方が、さらにEPA成分の入ったトクホを使うと、出血が止まりにくくなるということもありますから注意が必要です。  また、病院に行くのが面倒だからトクホで代用しようというのも困ります。医療用医薬品のほうが作用が強く効果は安定し、確実ですので決して代用にはなりません。自分で勝手に薬を中止してトクホに切りかえるということは絶対にやめてください。

池上 トクホの有効性については厚生労働省の審議会の委員会で、安全性については内閣府の食品安全委員会で審査していますが、トクホのラベルには一日の摂取量や疾患のある人に対する注意書きが必ず書かれていますので、不測の健康被害を避けるためにもよく読んで利用してほしいと思います。一方で、トクホの正しい摂取を指導する制度や専門資格はあるのかという質問ですが。

池田 今、健康食品に関して『適切な情報を提供できる人を置くこと』という厚生労働省の指導のもとに教育が進められています。具体的には「NR(栄養情報担当者)」という資格者の養成や、医師、薬剤師、保健士、管理栄養士などがトクホの使用に関して指導する体制が普及しつつあります。

井上 厚生労働省の研究機関である国立健康・栄養研究所でNRの資格認証を行っていますが、私が関係している日本健康・栄養食品協会でも「食品健康指導士」という名称で資格の認証を出しています。まだ統一的な基準はありませんが、ほかにも民間組織が学会と協働して教育と試験を行ってトクホの適切な情報を提供できる人たちを養成するシステムができています。

池田 日々の食品には3つの機能があります。第1がエネルギーの供給を主とした栄養機能。第2が味覚を中心にした感覚機能。そして、第3の機能が疾病の予防や健康の増進に作用する保健機能です。種々の生活習慣病が大きな問題となっている日本の長寿社会の中で、この第3の機能に着目して国が作ったトクホという制度を円滑に機能させ、個々人に本当に合った適正なトクホを正しく使うことは国民全体の疾病予防のもうひとつの大きな流れになるのではないでしょうか。

<産経新聞(大阪版) 2009/3/29>
2009年04月更新