第2回トクホセミナー
生活習慣病の一次予防とトクホの有効利用をめぐって (2)
生活習慣病の一次予防とトクホの有効利用をめぐって (2)
高血圧、高血糖、脂質異常 重なると血管老化20年早い
東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター教授・同附属病院新橋健診センター所長の和田高士氏は、「特定保険指導対象者の選別とトクホ有効利用の具体策」を提示した。メタボリックシンドロームでは、個々の異常は軽度でも複数重なることで相乗的に血管障害を進めることが大きな問題とされるが、和田氏は20年前すでに、高血糖、高血圧、脂質代謝異常の3つが重なると血管の老化が20年早まるという論文を発表している。
2008年4月から実施された特定健診では、軽症・中等症の異常では保健指導を受けることとし、重症の場合は治療を目的として医療機関の受診を勧められる(受診勧奨)。ただ、国が定めた受診勧奨判定値が見方によっては厳し過ぎるのが気になるところだ。たとえば悪玉と呼ばれるLDLコレステロールの保健指導の対象は120〜139mg/dlで、それ以上は受診勧奨。血圧では収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上は受診勧奨だが、こうした値を少々超えている程度の人は決して珍しくない。結果として7割の人がなんらかの受診勧奨の対象となり、保健指導対象者は3割に過ぎないことになる。これでは医療費削減どころか、増大につながりかねない。
ところが体重の減り具合によって血圧がどれだけ改善されるかを3群に分けて調べたところ、収縮期血圧が140〜159mmHgの人が3キロ以上減量すると、薬を使わずに70%近い人が140mmHg未満に改善されることがわかった。「縮期血圧が159mmHg以下であれば減量によって受診勧奨から脱却し得る」と和田氏は言う。
同様に、脂質では、受診勧奨値を超えていても中性脂肪399mg/dl以下、善玉のHDLコレステロール30mg/dl以上、悪玉のLDLコレステロール179mg/dl以下、糖尿病では空腹時血糖が139mg/dl以下、ヘモグロビンA1c6.4%以下であれば、3キロの減量でそれぞれ十分に受診勧奨から外れることができると同氏は提言している。と同時に、同氏はこれらのグループがトクホの積極的活用対象だと考えているが、「トクホさえ飲んでいればよくなると思うのは間違い」、栄養素とカロリーに注意した食事と運動によるメタボ予防を怠らず、そのうえでトクホを活用することで、その効力が発揮されると釘を刺す。また、カロリー制限をするとカルシウムや鉄分が不足しがちになるが、これにもトクホが役立ちそうだ。
2009年04月更新
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