産経新聞「健康ライフ」記事
第2回トクホセミナー
生活習慣病の一次予防とトクホの有効利用をめぐって (1)
トクホ適正使用研究会による第2回トクホセミナー「生活習慣病の一次予防とトクホ(特定保健用食品)の有効利用をめぐって」が2月中旬、大阪市北区梅田のブリーゼプラザで開かれた。生活習慣病予備群ともいうべきメタボ人口急増社会においてトクホが果たす役割や有効なトクホの活用について熱心に議論が交わされた。
3キロ減量で生活習慣病を初期に予防
 トクホ適正使用研究会理事長で共立女子大学家政学部長・食物栄養学科教授の井上修二氏は「トクホと生活習慣病の一次予防、誰が適用対象者か」と題して講演した。

 食生活や運動習慣、喫煙、飲酒などの生活習慣因子が、その発病や進行に深く関与する病気が生活習慣病。糖尿病(2型)をはじめ、高血圧、脂質代謝異常(高中性脂肪、高LDLコレステロール、低HDLコレステロール)、肥満などが挙げられる。

 生活習慣病の怖さは自覚症状がないまま進んでいくことだ。代表格の2型糖尿病の場合、放置すれば6年で神経障害が、8年で網膜症が、10年でたんぱく尿が出始め腎症へと進む。さらには動脈硬化を強く進めて心筋梗塞や脳卒中の重要な危険因子になる。生活習慣病には遺伝的要因もかかわっているが、誤った食生活や運動不足からくる肥満が病気になりやすい状態を作る。日本肥満学会ではBMI(体格指数)が25以上を肥満としているが、数値が上がるに従って高血圧や脂質代謝異常、糖尿病などが見られるようになる。高度な肥満では脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、変形性関節症、無排卵月経などの健康障害も合併しやすい。

 中でも内臓脂肪型肥満は生活習慣病にかかるリスクが高く、これを予測する指標として腹囲(男性85センチ、女性90センチ。内臓脂肪総面積100平方センチに相当)を用いている。これに高血糖、高血圧、脂質代謝異常のうちいずれか2つ以上を併せ持った状態が、心筋梗塞の高リスク群であるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)である。

 メタボ状態を脱するには減量がきわめて重要だ。「日本人の場合、体重の5%、だいたい3〜5キロ減量すれば初期の生活習慣病はほとんどよくなります」と井上氏。急激な減量を避け、日々1600〜1800kcalの食事と200〜300kcalの運動量(歩行なら7000〜1万歩程度)を併用して3〜6カ月かけて減量し、その体重を1年以上維持すればリバウンドは少ないとされる。

 トクホは一般に健康増進の手段としてとらえられがちだが、「血圧や中性脂肪、コレステロールが高めだったり血糖値が気になり始めた、いわば生活習慣病との境目にある人や遺伝的素因がある人が用いて病気の発症を予防したり、異常が軽いうちに改善しようというのが本来の使い方」だと、井上氏はトクホの役割を強調する。1520万人いると言われる正常高値血圧の人、合わせて2,210万人と推計される糖尿病が強く疑われる人や可能性を否定できない予備群の人たちが、あくまでも食事療法と運動療法をきちんと行った上で、トクホをうまく活用することによって正常な状態を取り戻すことができれば、本人の将来のQOLにとっても、医療費削減にとっても、大きな効果をもたらすことが期待されるだろう。


2009年04月更新