抗酸化サプリメント摂取のがん予防効果を認めず
2009年01月14日
 ビタミンCやE、βカロチンには、活性酸素のはたらきを抑え細胞や血管の傷害を軽減する抗酸化作用があるとして、がんの予防効果が期待されているが、女性ではこれらを栄養補助食品(サプリメント)で摂取してもがんの予防効果が認められないことが、米国の新しい研究によって示唆された。

 この研究は、医学誌「米国国立がん研究所誌(Journal of the National Cancer Institute)」オンライン版に12月30日掲載された。

 研究では、心血管疾患またはそのリスクのある40歳以上の女性8171人を対象に、無作為対照比較試験が行われた。プラセボ(偽薬)、1種類のサプリメント、複数のサプリメントを摂取する群に無作為に割り付け、サプリメントはビタミンC(500mg/日)、ビタミンE(600IU、隔日)、βカロチン(50mg、隔日)を用いた。

 割付前にがんと判定されなかった7627人を選定し、平均9.4年間の期間中に、624人にがんが発現し、176人が死亡した。プラセボと比べ、がん診断の相対リスクはビタミンCを摂取した女性で1.11、ビタミンEは0.93、βカロチンは1.00となり、統計学的に有意な証拠は認められなかった。

 ジェニファー リン・ハーバード大学医学部准教授らは、今回の研究結果について「サプリメントの摂取ががん予防になるという証拠は得られなかったが、食事で果物や野菜を多くとることはやはり勧められる。抗酸化作用のあるサプリメントの効用についてさらに研究を続ける必要がある」としている。野菜や果物には、抗酸化作用があるとされるビタミンC、ビタミンE、βカロチンなどのカロチノイド、ポリフェノール類が多く含まれる。

 サプリメントなど栄養補助食品とがんの発生率や死亡率との関連について、有効性がないとする研究結果は過去にも発表されているが、こうした研究の背景として、米国でサプリメントなどの栄養補助食品の安全性や有用性についての科学的な検証が進められていることが挙げられる。

 米政府が1994年に制定した「栄養補助食品健康教育法(DSHEA法)」では、健康に寄与するという科学的なデータや情報提供が明確にされれば、FDAに届け出ることによりヘルスクレーム(健康強調表示)を認めている。医薬品のように効能を表示することはできないが、症状を明示して効果を伝えることができるようになっている。

 国民の健康や栄養に対する意識を高め医療費を抑制したいという行政の狙いがあり、DSHEA法の制定後に栄養補助食品産業の市場は伸長したが、エフェドリンによる死亡事故など栄養補助食品による健康被害が頻発したため、制度の再検討がはかられている。

 日本には、厚生労働省により保健に役立つ効能が認められた「特定保健用食品(トクホ)」や、不足したビタミンやミネラルなどを補う食品として成分や機能の表示を認められた「栄養機能食品」に認定されたものがある。いずれも「多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません」、「他の食品からの摂取量を考えて適量を摂取して下さい」といった注意事項がある。

Vitamins C and E and Beta Carotene Again Fail to Reduce Cancer Risk in Randomized Controlled Trial

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