受動喫煙の害を8割が認知「分煙だけでは不十分」
2008年12月03日
 2003年に厚生労働省が健康増進法を施行し、日本の飲食店でも受動喫煙を防止するために必要な措置が求められるようになった。2006年国民健康・栄養調査によると、喫煙習慣のある人の割合は減少傾向にあるが、男性のおよそ4割が喫煙している(女性は1割)。

 喫煙は多くの疾病の危険を高めるが、たばこの煙による健康への悪影響は喫煙者本人にとどまらない。たばこの煙は、喫煙者が吸い込む「主流煙」と、たばこの点火部分から立ち上がる「副流煙」に分けられる。「受動喫煙」は、他人が吸ったたばこの副流煙を吸わされることをいう。

 大和浩・産業医科大学産業生態科学研究所教授は、「副流煙には、喫煙者本人が吸い込む主流煙よりも多くの有害な化学物質が含まれており、肺がん、心臓病、脳卒中などの危険性が高まる」と話す。

 「海外でも英国や米国などのほとんどの欧米の先進国では、受動喫煙防止法によって飲食店でタバコを吸えないことが、普通のことと捉えられている。実際に受動喫煙防止法を導入した国や地域の中では、急性心筋梗塞の発症率や入院者数が有意に減るなど効果も確認されている。世界の流れと比較すると、日本の屋内での受動喫煙対策は非常に遅れている。利用者の健康に配慮した対策を早急に進めていくことが必要だ」。

 製薬会社のファイザーの調査によると、飲食店で他人のタバコで不快な経験をした人が67%に及ぶという。「同席者の喫煙が及ぼす自分の健康への害を気にする」と回答した人も非喫煙者の81%に上った。この調査は、週に1度以上飲食店を利用する全国の800人(喫煙者・非喫煙者各400人)を対象にインターネットで実施したもの。

 受動喫煙の害について認知している人は83%と多かったが、タバコの影響の中でもっとも不快に感じたこととして「健康への害」と挙げた人は4分の1程度にとどまった。健康増進法で"飲食店管理者は受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない"と定めていることを知っている人も、全体の45%と半分に満たなかった。この結果は、受動喫煙の害を知っていると答えながらも、健康に与える影響について良く理解している人が少ない日本の現状を表している。

 法律による規制で受動喫煙対策を行うことに非喫煙者の76%が賛成、喫煙者も4人に1人が賛成と答えた。具体的な対策案としては、「分煙にする」が64.5%、「終日全面禁煙にする」が25.3%、「全席禁煙タイムを設ける」が5.9%、「別に対策は必要ない」が4.4%だった。

 大和教授は「6割以上は、分煙でもよいと考えている。しかし、多くの飲食店が行っている分煙は、フロア内で喫煙席と禁煙席のスペースを分けるだけの不完全な対策で、受動喫煙を防ぐ効果は全くない」と話す。調査結果をみても、タバコの煙で不快な思いをしたことのある人の約8割が、禁煙席を選んだにも関わらず喫煙席から流れてくるタバコの煙で嫌な思いをしている。

 公共の場所での受動喫煙防止条例の成立に向けた動きもはじまっている。神奈川県が全国の地方自治体ではじめて骨子案をまとめた。

 中田ゆり・神奈川県公共的施設における禁煙条例(仮称)検討委員会委員は「神奈川県では、公共的施設での喫煙を制限する『受動喫煙防止条例』の制定に向けた動きが進んでいます。一部の業界に配慮し、分煙や適用の猶予が認められていますが、将来的には完全禁煙を目指していくもので、受動喫煙対策が遅れている日本においては全国初の、画期的な政策です」としている。

ファイザー(株)
受動喫煙防止対策の手引き「たばこの煙から健康を守るために」(神奈川県)
受動喫煙は糖尿病にも悪い(糖尿病NET)
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